浜松のこだわりのお酒とオーガニック食品の店 「酒&FOODかとう」

浜松市のこだわりのお酒とオーガニック食品を専門とする店「酒&FOODかとう」です。

TEL.053-485-3536

浜松市西区神ヶ谷町7873-1(神久呂小学校正門前)

「風と太陽と塩」 伊豆大島へ 前編

「風と太陽と塩」 伊豆大島へ 前編

今年の正月5日、伊豆の大島に昔ながらの伝統製法で塩を作っている
「海の精」という製塩会社に夫婦で行ってきました。

命の源、そして、調味料として「さ・し・す・せ・そ」
の中の欠かせない”塩”は大事な物だと常々思っています。

今年、当店は伝統酒、伝統食品の店としてスタートし20年目を迎えます。
振り返ればあっという間のような気もしますが、
作り手の見える商品をお客様に紹介したいと思い、
毎年、何処かの現場を訪ねてきました。
商品の作られている環境を知り、作り手から直接お話を聞いた事を、
私達の店に来て下さるお客さんに伝える事が出来るのは私たちの喜びでもあります。

20周年の節目、原点にかえる意味でも
本物の「良い塩」を作っている所を見たいと思い訪ねることにしました。


 熱海港 大島行きのジェットフォイル(高速艇) 一日 2便就航


浜松から朝6時49分の新幹線で熱海に着き、
バスで熱海港まで15分、熱海港で待つこと約1時間。
9時20分発の大島行きジエットホイルに乗りました。
その日は天気は良いのですが風が強く、
初島行きの船は運航中止になってしまいました。
大島行きは出航出来ましたが、
大海原に出ると、波も荒くなって来ました。
去年の漁船の転覆事故の事を思い、荒れた海の怖さを感じました。
45分ほどでやっと島が見えて来て、かもめの一団が、波しぶきの中を
突然現れて、私たちをやさしく歓迎してくれているようで嬉しくなりました。

10時10分、風が強いため、予定の元町港ではなく、別の岡田港に到着。
大島は活火山の三原山が有名です。
人々は、そのふもとの周りで生活しています。
海の精の工場は島の2ヶ所にあり、
バスで行くのは不便だと聞き、レンタカーを借りました。
大島は離島ゆえに、本土と違い物価は高く、
レンタカー料金も6時間で4,500円(軽自動車)。
ガソリンも、1リットル170円ほどです。
しかたがないですね!!

大島は、椿とそれからできる椿油でも有名。
冬でも暖かなイメージがしましたが、
1,2月は特に風が強いそうで、
幹線道路の脇に植えられた南国を思わせるソテツの木々が
寒そうに揺れていました。
でも、この自然の風と太陽の光が、
「海の精」の塩作りには一番大切なのです。

車で10分ほどで元町にある工場に着きました。
お正月早々の見学は私達だけだと思っていましたが、
海の精の発売が30周年を迎えるという事で
雑誌の取材の人達が来ていて、
創始者の村上会長と寺田社長もいらっっしゃいました。
そして、私達夫婦も取材の見学に同行させていただく事になり、
とてもラッキーでした。

          ~塩の製造過程~
 
        「海の精」元町工場内


早速、塩が炊き上がったという知らせで、工場内に入りました。
入り口では頭と靴にカバーをつけます。
「海の精」で作られる塩は2種類の製法で作られます。
一つは海水を流下式の装置で濃縮し、それを容器に広げ、
撹拌しながら天日に干し続ける
人工の熱を加えないで作られる国産唯一の天日塩。
この天日塩作りは別の場所にある千波工場で行われています。
会社では「海の晶ほししお」と名づけられ販売されています。

そしてもう一つがこここの工場で作られる釜炊きで作られる「海の精あらしお」です。
千波工場で汲み上げられた海水を、
大きなやぐらを組んだ上からすだれ状になった竹等に何度も繰り返して流すと
濃縮された海水(かんすい)になりそれを、
こちらの元町工場で、大きな平釜に入れ、
下から蒸気で熱し続けると、次第に水分が蒸発し、
塩分の結晶が出来ます。

 左:会長の村上氏と右:社長の寺田氏に取材する女将


塩分濃度を計りながら、丁度良い濃度の具合になったところで釜揚げとなります。
釜揚げされたばかりの塩は未だにがりを含んだ水分を含んでぼっとりとしています。
別の容器に櫂で入れる時、周りに塩分が飛び散り、
床もべとべとになってしまいます。
一気に掻き出すのは、かなりの力が要ります。
その釜から掻き出されたばかりで、アツアツに結晶したばかりの塩をなめさせてもらいました。
まだ、水分を含んでじっとりしていますが、
やさしく、しょっぱさが口に広がってスーと体に入っていくようでした。
これがうちの店で売らせてもらっている「海の精」になるのだと思って感激しました。


 右:本日のメインゲストである健康指導家の阿部一理先生

そして、次の工程の部屋へ。
そこでは、先程の適度に煮詰められた塩が桶の中で冷却され、
塩とにがりを含む水分とに分かれていました。
その下に結晶した塩だけを、大きな丸い平釜に入れ、
回転させ、にがりを含む水分をさらに分離させると、
釜の側面に製品となるさらっとした塩が付いてきます。
分離が終わって釜から出され「海の精」が出来上がりました。
別に出来たにがりは「海の精のにがり」として昔ながらの豆腐作り等に用途があり出荷されます。
数年前の「にがりブーム」を思い出します。

<ちょっといい話>
海の精のにがりは外食の時のスープ類に数滴入れると、味が一段と良くなるそうですよ。
試してね!!


 いよいよ塩の完成

 まさに海の結晶

 味見をする。「実に、まろやか。海の命そのものの味」

出来上がった塩は、コシコシとした感じでとがって見えました。
その先を手でつまんで食べてみました。
ふわーとした口当たりですが、五味を感じて重みのある塩辛さでした。

また、別の部屋では”焼き塩”も作られていました。
出来上がった海の精を、丁寧に小分けし、大きなオーブンのような機械で、
600度の高温で焼くのです。そんな高温は家庭では出来ませんが、家庭で炒る場合は
ホウロクやホーローの鍋で時間をかけて炒るのが良いとの事です。

 
 最後の過程:人間の目でチェック
 黙って黙々と真剣に行う、とても根気が要る仕事です。

このようにしてやっと出来上がった塩は、袋詰前に厳しい製品チェクをされます。
机に座った検査の女性社員が、
塩の中の小さな塊りや異物を少しずつ目で見て取り除きます。
はなかなか根気のいる作業で感心しました。

最後は、「美味しい塩は海からのおくりものい」というDVDを見て前半の部終了。
昼は、おいしい手打ちそばで食事。
最高に幸せなひと時でした。

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