「風と太陽と塩」 伊豆大島へ 中編 1月29日号
~本物の塩って?~
今日は、塩についてお勉強しようと思います。
テキストは、工場見学でいただいた
、小冊子「正しい塩の選び方」(NPO法人 日本食用研究会)
「日本人には塩が足りない」(村上譲顕著 東洋経済新報社)、
そして我が家の食のバイブル「日本の食物史」(安達巌著 同文書院)
から、抜粋させていただきます。
■まずは国語から、塩の漢字の由来?
漢字ですから、中国にて作られた文字。
女将…どうして土編なの?
「日本の食物史」第1章 古代編
9 加工飲食料の黎明期 (4) 塩の使用 60p
人類が狩猟・漁労生活から、農耕生活に移行するにつれて、
重要度を加えていったものに 「塩」がある。
中国の「前漢」王朝が、この塩と酒と鉄の専売制を実施したのは、
紀元前1世紀のことだった。
が、この塩は岩塩であった。
それは、塩の字が「土」編だということによって明らかであるが、
朝鮮や日本には岩塩がない。
それでは縄文・弥生時代人はどうして塩を補給していたのであろうか。
中略
やはり、海水から主として塩をとったのであろう。
それは「塩(シオ)」が「潮(うしお)」につながる発音だということからみても疑いない。
■次は理科にしましょう。
女将…岩塩って?
さきほど、中国の塩は「岩塩」であった、ということを学びました。
百科事典「マイペディア」と「正しい塩の選び方」でさっそく調べました。
~百科事典「マイペディア」~
「岩塩」…鉱物として産する塩化ナトリウム。
不純物として硫酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム
硫酸マグネシウムなどが少量混在。
中略
無色が普通、ときに黄、赤、青などに着色。
内陸の海水が蒸発した結果生成されたもので、
古生代以降の地層中に岩塩層をなして分布。
米国、ドイツ、ロシアに広く産出。
~「正しい塩の選び方」~ 8p
「岩塩はミネラル豊富?」
岩塩は大量の海水が自然に干上がってできた天然の塩で、
さぞミネラル豊富な良い塩ではないか、と思いがちです。
ところが、実は岩塩は高純度の塩化ナトリウムで、
良質なものほど(塩化ナトリウム)ミネラルを含んでいないのです。
そのわけは、ミネラル(塩類)によって結晶濃度が異なるため、
岩塩層はおおむねカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩の
順に層状に分離して堆積しているからです。
この中でも最も厚い塩化ナトリウムの層を掘り出したのが岩塩なのです。
しかも現代では、岩塩に水を注入して溶かした濃厚塩水を汲み上げて再結晶した
岩塩が主流で、精製塩と変わらないほど高純度のものが多くあります。
炭酸カルシウムなどの固結防止剤を添加したものも多数あります。
(カルシウム豊富なんて、カン違いしないように!)
●ここで、少しブレイク!!
ドイツが岩塩の産地であることが分かったのは、あのニュースでした。
「核廃棄物処理場として、ゴアレーベンの岩塩ドームが
候補に挙げられ、住民の反対で中断」。
スーパーの塩コーナーでも、注意してみれば、
ドイツの岩塩が数種類並んでいます。
女将…結局、「海水VS岩塩」
どっちが日本人に良いの?
海水100%がおすすめ!: 「正しい塩の選び方」~ 8p
美味しくて体に良い塩を作るには、どんな原料が良いのでしょうか?
それは、ずばり海水100%です。
岩塩も塩湖水も大本をたどれば海水が起源ですが、
生成の過程でミネラルが適度に、バランス良く含まれています。
だから、海水100%を直接原料にするのがベストなのです。
(ただし、海水を原料にしさえすれば良い塩ができるというわけではなく、
製法も問題になります。
原料と製法があいまって良い塩ができるのです。)
女将…少し合点しました。
それでは、ヨーロッパの人たちは、
ミネラルが不足しませんか?
村上譲顕氏(海の精株式会社代表取締役)が、
彼の著書「日本人には塩が足りない」の中で、次のように答えています。
~どこの国の塩がいいの? 163P
ヨーロッパなどの土中にはミネラル分が多く含まれており、
水もカルシウムやマグネシウムなどを多く含んだ硬水です。
ヨーロッパ人は水からミネラルが摂取できるので、
塩はミネラル分の少ない岩塩でもいいのです。
一方、日本は火山灰土で、
土中のミネラル分が少なく、水もミネラルを含まない軟水です。
日本人には、水からミネラルが取れないので
カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が豊富な、
純度の低い海塩が必要なのです。
女将…これで、なんとなく合点!!
■最後は、日本の塩の歴史
女将…そうよね。
歴史は大切だわね。
小冊子「正しい塩の選び方」(NPO法人 日本食用研究会)より
昭和46年(1971年) 法律によって、
日本で伝統的に行われてきた塩田式の自然な製塩法が廃止。
旧日本専売公社による
イオン交換式という化学工業的な製塩法に全面的に切り替えられ、
全国の家庭でその専売塩を使用して来ました。
平成9年(1997年)に塩専売制度が廃止されるまで続く。
廃止されると色々な塩が作られました。
しかし、消費者が「無添加」、「ミネラル豊富」、
「まろやか」、「にがりを含む」、ミネラルバランスがよい」、
「うまみがある」、「体にやさしい」といった塩を求めているのに、
納得できる正しい表示が行われていないために選択に困っている、
というのが現状でした。
そこで、塩業界では、食用塩公正競争規約を定め、
平成22年(2010年)4月からは、
公正協議会に加入しているのが分かる「公正しお」のマークが、
規約に基づいて作られた塩の目印になります。
家庭用塩の販売企業のほとんどが公正協議会に加入しています。
記載を義務付けられた表示は製造方法として
原材料名や工程栄養表示成分が記載されています。
女将…塩について少しだけ頭に入ったわ。
まだまだチンプンカンプンだけど…。
伊豆大島の「海の精」工場見学で肌で理解したことは
これ!これ!
日本では、「しお」の正しい漢字は「潮」だってことよ。
もっと、勉強しなくちゃね!!!
そういえば、名画「サウンド オブ ミュージック」の舞台は、
オーストラリアのザルツブルクの町。
ザルツという言葉は日本語に訳すと、「塩」なのね。
奥が深すぎて、困っちゃうわね。
次回は、いよいよ後編です。